5 chapters·Completed·★★★★★ 5.0 (1)
親譲りの無鉄砲で、子どものころから損ばかりしている——そんなまっすぐすぎる江戸っ子の青年が、学校を出てすぐ、四国の田舎町へ数学教師として赴任する。曲がったことが大きらいで、思ったことをすぐ口にし、こずるい大人のごまかしを決して許さない彼は、都会とはまるでちがう田舎の暮らしと、ねじ曲がった同僚たちの世界に、たちまち巻きこまれていく。生徒たちのいたずら、教師たちの腹のさぐり合い、うわべだけ立派な校長「狸」、こずるくて陰険な教頭「赤シャツ」。正直で熱い心を持つ主人公は、卑怯な仕打ちに我慢ならず、ついに痛快な行動に打って出る。江戸っ子の意地と、まっすぐな正義感を、軽快なユーモアにのせて描く、日本でもっとも愛される青春小説。読めば、誰もが胸のすく思いを味わう、爽快な名作。
親譲りの無鉄砲で、子どものころから損ばかりしている。 小学校にいたころ、学校の二階から飛び降りて、一週間ほど腰を抜かしたことがある。なぜそんなことをしたのかと聞かれても、別段、深いわけはない。ただ、同級生のひとりに「いくらいばっても、そこから飛び降りることはできまい」とからかわれたからだ。おれは、できないと言われると、どうしてもやらずにはいられない性分なのである。 おれは、こういう調子で、子どものころから、無茶ばかりしてきた。親父には、ことあるごとに「お前はろくな者にならない」と叱られた。母も、おれのことを、あまりかわいがってはくれなかった。兄は、ずるくてこすっからい奴で、おれとは、てんでうまが合わなかった。…
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